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JR新幹線特集
COLUMN

登場から25年!「のぞみ」の今と新幹線テクノロジー

最終更新日: 2017年03月20日
登場から25年!「のぞみ」の今と新幹線テクノロジーのイメージ

 東海道新幹線「のぞみ」が3月14日、デビューから25年を迎えました。
 のぞみが登場したのは92年3月。従来より50キロも速い最高時速270キロで走行可能な「300系」車両を投入されたのが始まりでした。登場当時の「のぞみ」のキャッチフレーズは「東京 - 新大阪間2時間半運転」。名古屋・京都の各駅に停車させると、2時間半運転が不可能となるため、苦肉の策として名古屋・京都両駅を通過させることで対応しました。このことは「名古屋飛ばし」としてメディアでも大きく取り上げられました。両駅通過は約5年8カ月続きましたが、1997年11月29日、新幹線の「名古屋飛ばし」はようやく消滅したわけです。

 そんな騒動があったことも今は昔、2017年3月4日の春のダイヤ改正では、東京−新大阪間で3分、新大阪−博多間でも最大3分短縮され、一部の「のぞみ」は東京−博多間で所要時間が7分短縮され最短4時間46分で結ばれるに至っています。
 今回のダイヤ改正で所要時間の短縮を成功させた背景には2つの要因が挙げられます。1つは山陽新幹線区間への新型ATC導入、もう1つは車両の更新です。

■山陽新幹線区間への新型ATCの導入
 新幹線の信号保安装置「ATC」は、一言でいえば先行列車との間隔や線路の状況に応じて、その時点における制限速度を列車へ指示、それを越えるとブレーキを作動させる信号保安装置のこと。山陽新幹線では東海道新幹線開業当時(1964年)からの流れをくむアナログATC(ATC−1W型)が使用されてきました。
 従来のATCは停車駅に接近した際、たとえば270km/hから230km/h、170km/hといった具合に、制限速度を段階的に指示。列車はそのたびに「多段階」でブレーキをかけたり、緩めたりすることになります。
 対して今回のダイヤ改正で導入されたデジタルATC(ATC−NS)は、走行している速度から「1段階」のブレーキ制御で減速。つまり走行している速度からブレーキをかけた後の目標速度まで「一気に減速」することが可能で、かつ滑らかにスピードを落とすことから、乗り心地も向上させたのです。

 たとえば、姫路駅付近から西の区間では最高速度300キロメートルでの運転が行なわれていますが、時速300キロから時速30キロまで減速する場合、アナログATCではいくつかの段階を経て時速30キロまで減速。しかし、デジタルATCなら減速に必要な距離を逆算して、ブレーキを効かせ始めるギリギリの地点まで時速300キロで走り、そこから滑らかに一気に時速30キロまで減速することができるわけです。これはアナログに比べその分高速運転のできる距離が伸びるということになるのです。加減速が発生するたびに時間短縮が行われる結果、途中17駅に停車する「こだま」なら、平均して約15分もの所要時間短縮に繋がるのです。
 今回の改正で、東京−博多間の「のぞみ」は最速で4時間46分となり、1997年「のぞみ」が東京−博多直通運転を開始した際の「5時間のカベ」を軽々と突破し最速記録となりました。

■N700Aの実力
 二つ目は車両の差し替えです。今回のダイヤ改正では、東海道・山陽新幹線を直通する全ての「のぞみ」「ひかり」がN700Aタイプになり、一部の「のぞみ」「ひかり」が東京−博多駅間において最大7分の所要時間短縮を実現しました。
 東海道・山陽新幹線は、500系、700系、N700Aタイプ(N700AとN700系改造車)の3種の車両が運行されていました。500系は山陽区間の「こだま」専用かつ8両編成となるため、路線全体への影響は微々たるものでしたが、700系は最高速度や起動加速度などの性能面でN700Aにどうしても見劣りしてしまいます(セミアクティブ・サスペンションを装備するなど乗り心地の良い車両でファンは多いのですが…)。そこで、今春のダイヤ改正では700系は「こだま」専用という割り切りが実施、遅くとも2019年度までには東海道区間から引退すると言われています。

 「ほんの少し」速くなったことで、2016年4月の熊本地震の影響で一部徐行運転が続いていた九州新幹線の熊本−新八代間が、今回のダイヤ改正で通常の運転に戻ったことも付け加えておきたいと思います。所要時間の短縮も、地震対策も単年度で見れば「地味な改善」かもしれません。今春のダイヤ改正は、話題のあるトピックが少なく、全国紙、テレビなど報道各社の扱いが小さいように見受けられましたが、なんのその。。こうした「改善」を積み重ねが現在の日本の新幹線技術に繋がっているのです。

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