かつて憧れの職業としてもてはやされた航空機のパイロットに異変が起きている。パイロットといえば、高度な専門技術に高収入と勝ち組として称されてきた。そのパイロットが確保できずLCCでは多くの運休便が発生しており、将来的には大きな人材不足を招く事態が予想されている。
パイロットはなぜ足りなくなったのか、また不足の原因を解消することはできるのか。パイロット不足の原因の一つとして「空の自由化」が挙げられる。海外での航空の規制緩和に伴い格安なフライトが実現。日本でもこれを後追いする形で、LCCの新規参入が相次ぎパイロットの需要が拡大している。再三お伝えしたようにLCCのビジネスモデルは合理性・効率性を重視する薄利多売なスキーム。安い便を何本飛ばせるかが肝になってくるので、結果パイロット不足に拍車をかけてしまう。
すでにパイロット不足が憂慮されているが、さらなる問題が2030年後に待ち受けている。機長を務める年齢層は40〜50代が中心となっており、やがて大量の退職時期が訪れる。それまでの間に若い世代の機長を育てることが急務であり、さもなければ今の数を維持するのも難しい。
航空の規制緩和から端を発した世界的なパイロット不足に加え、もともと高齢化問題を抱えていた日本の航空業界を直撃する格好となっている。